元々、ビリヤードの愛好家だった彼は、その機械設備の知識と高い木工技術を活かしてキューのメンテナンスを手がけ始めた。彼の高いメンテナンスの技術は、たちまち評判となった。その後、周囲からの強い要望もあり、ごく親しい友人のためにキューを製作することになった。完成した彼のキューはその精度の高い構造、プレイ性能の高さ、その素材の銘木の木目の美しさ、代々かけて寝かせた希少な銘木を使用することから生まれる撞いた際に利き手に伝わるしっかりと内部まで締まった心地よい打球感などで、またも評判となり、キュー製作の依頼が殺到した。
そんな中、彼は周囲の高い評価にも奢(おご)ることなく、自らのキュー製作の技術に磨きをかけるため、キュー職人界の長老で名匠として名高いBert Schrager(バート・シュレーガー)氏の工房を訪ね、Schrager氏の指導の下で、更にキュー製作の技術に磨きをかけた。Bradyの人柄と丹念な仕事ぶりに惚れ込んだSchrager氏は、彼に様々なキュー製作の技術の詳細を継承していった。一時、Schrager氏は自らの工房を彼の工房に移すほどの惚れ込みようで、高齢のため長時間の車の運転ができなくなる最近まで、彼と同じ工房でそれぞれのキュー製作の仕事をしていた。
近年、ほとんどのカスタムキューメーカーがコンピュータ制御のCNC切削機械を用いたキュー製作手法に走り、デザインや見てくれのみにこだわり、同じデザインのキューを何本も量産し、キュー本来の性能やプレイアビリティを最重点に置くのを忘れている現状において、大都市から離れた郊外の自然豊かな静かな環境の下、自分のリズムと信念にこだわり、師匠Schrager氏と同様、コンピューター制御のCNC切削機械などを使った量産などは一切行わず、丹念な手作りの工程にこだわりキューを製作する彼は真のクラフトマンシップ(職人気質)の持ち主である。
彼はリングワークについても、キューパーツ専門メーカーが製作した汎用のリングを用いることなどはせず、自ら、キュー1本1本について、その各々のキューにマッチする異なるデザインのリングをハンドメイドで製作し、リングワーク1つにも彼のオリジナリティーと手作りのこだわりを貫徹している。彼のキューは師匠Schragerキューと同様、スティッフでパワフルな打球感とプレイ性能の高さで評判を博している。業界内でもSchragerの技術を直に引き継ぐ職人と見なされ、嘱望されている。Brady
Andresen氏はアメリカのクラフトマンシップの良心と技術を後世にまで継承する数少ない真の職人であり、他のキューメーカーとは全く違った存在感のある貴重な逸材である。ハンドメイドの極端な少量生産のため、入手困難なブランドである。
当社はBrady Andresen氏との長年の付き合いの中で深めた信頼関係を基に日本を含めた極東地域の総代理店の関係にあります。そのため、Brady
Andresen氏は当社には当社用に素材から厳選したキューを特別に製作しています。
◆Brady Andresen(ブレディ・アンデルセン)氏からのコメント◆
私の家系は祖父の代から船大工と製材所を営んでいる。そのため、幸運にも十分に寝かせた非常にいい銘木やメイプルを多くストックしている。私はその中からキュー作りに最適なものだけを選んでキューを製作している。
私のキューは年間生産本数も少ないので、日本のファンの方には申し訳ないが、そうそう日本には出荷できない。それでも、私のキューのプレイアビリティーや素材の美しさに共感して、私のキューを愛好して下さるユーザーが日本でも増えていることに感謝している。私は真のカスタムキューメーカーを目指しているので、今後も量産などするつもりはないく、少量づつでも私自身が納得できるキューのみを製作していきたいと思っている。
by Brady Andresen(ブレディ・アンデルセン)