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【 Yossy J. I.氏・Jossについての追加コメント「Jossキューに関する若干の素人考察」 

★ Joss(ジョス)キューに関する若干の素人考察 ★

小生のMS-11の文章に極似したコメントが某オークションのジョス出品にあたり、何度も盗用、掲載されました。誤解を避けるため、一時小生のこのページの掲載を一時中断していただくことになりました。

今回、掲載を再開していただくにあたり、当時のJOSS(ジョス)を体験している者として知っていることを書いてみたいと思います。


なお、以下の情報は小生の体験とインターネット上で見た写真などの寄せ集めですので、間違いや思い込みが当然あると思われます。素人のコラムということでご容赦願います。

JOSSの年代別外観特徴が現れる最も分り易い部分はバットキャップジョイント部だと思います。何故こんなことにこだわったかというと、手元にある‘80年代当時の物と現在一般に販売されている物では質が違っているように感じたためと、昔のJOSSは本当のカスタムメーカーらしく、Dan Janesが定番デザインから細部を変化させたバリエーションを作成していることが分ったためです。整理すると以下のようになるかと思います。

‘70s
バットキャップ:透明感のある白色デルリン製 もしくはクリーム色樹脂製。JOSSの刻印有り。
ジョイント部:寄木細工のリング 複数パターンあり。

‘80s前(?)〜中(’87?)
バットキャップ: 上と同じ長さでクリーム色樹脂。文字は無し。ちなみにこのバットキャップが使われている物はバンパーラバーが六角レンチネジで固定されている。
ジョイント部:黒リングに白文字でJOSSのロゴ入。製作年が入ったものもあり。

‘87?,‘88?
バットキャップ:上と同じ長さでクリーム色樹脂。文字は無し。ちなみにこのバットキャップが使われている物はバンパーラバーが六角レンチネジで固定されている。
ジョイント部:黒リングに金文字でJOSSのロゴ入。World Champion Mike Sigel / Nick Varnerの文字が入った特殊バージョン有り。ステンレスジョイントカラーに芸術的レーザー彫刻が入れられている個体も有り。

???
バットキャップ:上と同じ長さでクリーム色樹脂。文字は無し。ちなみにこのバットキャップが使われている物はバンパーラバーが六角レンチネジで固定されている。
ジョイント部:黒リングに金文字でJOSS Customのロゴ。

‘80s最後期〜’90s中?
バットキャップ:上と同じ長さでクリーム色樹脂。文字は無し。ちなみにこのバットキャップが使われている物はバンパーラバーが六角レンチネジで固定されている。
ジョイント部: 黒リングに金文字でJOSS Professionalのロゴ。シルクスクリーン印刷の様に鮮明で上の2パターンとは違う。これ以外にジョイントカラーが茶色樹脂の個体があるがオリジナルなのかどうかは不明。

‘90s中期?
バットキャップ:白もしくは黒の樹脂。長さはクリーム色の物より少し短い。JOSSのロゴとマークが印刷されている。
ジョイント部:黒リング文字無し

‘90s後?〜’00s
バットキャップ:非常に短い白色樹脂製。JOSS USAの文字が入ったバンパーラバーはバットキャップにネジ込み固定。また、デザインから見てこの時期に近いものは、この短い樹脂バットキャップが白または黒でJOSSのロゴが入っているものがある。
ジョイント部:ステンレスジョイントカラーにシリアル番号の刻印。黒リング文字無し。

ジョイント部のロゴですが、アルファさんによれば写真の金ロゴを用いていたのは極僅かの間とのことです。この頃のものにはMS-11、NVS-7のようにレーザー彫刻によるデザインが施されたものがあり、凝ったものに仕上げられた個体が存在します。

小生の手元にはこの頃のカタログしかありませんので、ジョスのダイヤと言えばこの普通のダイヤと思っていました。しかし ‘85年か‘86年には切込みがあるダイヤが使われていたカタログラインがあったそうです。デザインについては大体の流れがあり、見ればどの時代のものか大体判別が付きます。小生なりに大別すると、’70年代、‘80年代前半、’80年代後半、‘90年代前半、’90年代以降に分かれます。個人的に一番好きなのはやはり‘80年代かな。’70年代もVintageを絵に描いたような雰囲気で◎です(現物を見る機会はゼロに近いかも?)。

これらの事はインターネット検索を繰返し、断片を集めた情報ですが、’80年代以前の物については閲覧可能な個体数が少なすぎて、まとめた物言いが出来ません。’70年代の物は本当に希少です。またJOSS金ロゴ物も極端に少なく、特にジョイントにレーザー彫刻が入ったものは極僅かでした。

当時のJOSSは本当のカスタム専門メーカーだと思いますので、似たデザインで少しずつ違った仕上げを意図的にしていたことは充分にあり得ることと想像出来ます。その頃アルファさんに沢山あったJOSS達(これは奇跡だと思いますが)は、同じ品番でも、色木インレイの色が違う、フォアアームステインの有無、ジョイントレーザー彫刻の有無および彫刻柄の差、色木に合わせたリネンの選択など、少しずつ違うように意図的に作られていたように思えます。
 
また、No.18でも、カタログではダイヤがMOP(マザーオブパール)ですが、アバロニなどという変則パターンも存在するようで、カスタムメーカーの遊び心といいますか、マスプロダクション物とは違う面白さがあります。

映画「ハスラー2」の中で「バラブシュカ」として登場したJOSSは映画用に作成された特殊なデザインのようで、「スペアを含め2本のみ作成され今の所在は不明、以後全く同じデザインの物は作られていないし、Danはこのデザインをベースに作る場合、少しずつ微妙に変えている」と聞いたことがあります。‘本物‘は何処かのコレクターの手元で眠っているのでしょう。

この映画撮影当初は当時Mike Sigelが使っていた特注JOSS(有名なNo.17に近いデザインですが、MS-11のスリーブの四角インレイが入っていたり、フォアアームに凝った細工があり、豪華な印象です)をTom Cruseに貸していたそうです。Tom Cruseがキューを振り回すシーンでバットキャップを折ってしまい、Danが修理する際にフォアにColor of Moneyという文字が入れられたそうです。この逸話はアルファさんにあった現物の写真と共に雑誌に紹介されていました。アルファさんの記事によれば、この事故のために撮影は一時中断、上述のNo.18に似たキューをDanが急遽供給して、撮影は完了したそうです。上品かつ豪華なデザインで、幻のCOLOR OF MONEY CUEです。

金ロゴJOSSが入っているモデルが掲載されているカタログには、以下のコメントがあります(以下、当時のJOSS CUE カタログより引用)。
JOSS CUES is proud to announce that the JOSS CUE was chosen above all others to be used by PAUL NEWMAN and TOM CRUISE for the filming of the academy award winning movie "THE COLOR OF MONEY". The cue that was presented to Tom Cruise by Paul Newman (He referred to it as a Balabushka) was a model #18 in the JOSS COLLECTION. Dan and Stephen accepted this prestigious order with a feeling of great personal accomplishment.

これをざっと読むとカタログの18番が映画のそれのような錯覚を持ちますが、実際は違っています。カタログのNo.18が映画のものと異なっている点を分る範囲で挙げますと
(1)フォアにMOPダイヤインレイがある。
(2)フォアのプロング部分が外から エボニーライン−メイプル地−色板ライン−メイプル地−エボニートライアングルになっている。
(3)スリーブインレイが、切込みがあるダイヤになっていない。
となります。
(2)についてはアルファさんが雑誌に掲載していた個体の中でNO.8に映画の物に似たプロング(但し色は緑)の物があり、デザインアレンジとして取り入れられていたことが推測出来ます。‘80年代半ばまでの物にはこのパターンの物が少ないながら見られます。

本当は映画と同じ物が欲しかったのですが、入手不能なことが当時でも推察出来ました。悩んだ末、フォアのシンプルさ、スリーブの5ポイントが映画の物と近いとも言える!+上述の幻のCOLOR OF MONEYのインレイと一部似ている部分がある!と自分を無理やり納得させてMS-11に決めたことを思い出します。

蛇足ですが、現在‘映画の物‘のデザインとして一般で扱われている物は、バットキャップが短く完全な白色樹脂(現行仕様),ステンレスジョイントカラーにシリアルが刻印されている(現行仕様),スリーブの切込みがあるダイヤと外側の<>型メイプルインレイの形・プロポーションが違うように見える?,プロング中に真珠母貝の長細ダイヤもしくは切込みがあるダイヤのインレイがあるなど見た目で分る相違点が多くあり時代の流れを感じさせます。デザイン全体の印象としては、COLOR OF MONEYと言えることになるのでしょう。

更に余談ですが、JOSSとJOSS WESTとの混同もインターネット上で見かけますので少しだけ。Bill Stroudは‘72年にJOSS(Dan Janes)から独立してJOSS WESTを設立しています。Web上で見つけた’70年代のそれぞれの作品は、お互いを連想させる雰囲気があります。‘80年代になると両巨匠の作品は違う雰囲気を持ち始めていて、一見して区別出来ます。その後もそれぞれの道を進み、世紀が改まってからは源を同じにするメーカーとは思えぬ程、異なる印象を受ける作風になったように思います。私見ですが、両者とも’90年代の何処かに境界があると思えます。

JOSSが通常の14山パイロッテッドステンレスジョイントを基本的に続けているのに対し、JOSS WESTは時代と共にジョイント形式を14山、特殊14山、更に10山、ラジアルと、‘硬い方向’?に変化させたようです。

またJOSS WESTはバットキャップに銘があり、その形とデザインとの兼ね合いで大体の年代は推測出来そうです。小生はここでご覧頂ける、古いJWの雰囲気が好きで、いつかそんな作品がまた作られないかなと思っておりましたが、Bill Stroudの引退で夢は完全に絶たれました。

こう書いてきますと、デザイン・外観が価値を決める!と言っているようですが、決してそうではないと思います。上で長々と駄文を労していたは、Dan Janesくらいの巨匠になると、それが持つ本質というものが外観に現れているように思えてならないからです。肝心なのはプレイアビリティーでしょう。いくらパッと見が派手なキューでも‘味’が悪くては本末転倒ですね。また、インターネット上でオリジナルシャフトを失ったJOSSを見掛けます。314や出所不明のシャフト、JOSSロゴは入っているが、バットとシャフトで位置が合わないもの等。バットとシャフトが組み合わさってキューとなるのですから、オリジナルの状態でJOSSを評価したいと思います。‘巨匠Dan Janesが作った作品であればオリジナルコンディションで味わうのが一番だ’とこだわっている方はいらっしゃいませんか?

アルファさんオーダーのJOSSで撞いていて満たされるのは、シャフトのフィーリングが非常に良いからです。正に極上ノーマルシャフトの‘旨味‘が味わえます。アルファさんが、‘高くなってもいいから良いシャフトを付けるようとメーカーには強く要求している’とおっしゃっていたことが今更ながらに思い出されます。何の飾りもないノーマルシャフトにお金をかける、これが本当の贅沢というものでしょう。世はハイテクシャフト大流行ですが、小生には無縁です。バットが良いのは当然ですね。

小生にとって、‘80年代当時のJOSSシャフトが良いことは当たり前でしたが、アルファさんがExclusive Modelに付けている「JOSS Fine Shaft」もかなりの物であることは正直言って驚きでした。このシャフトはこのモデルのために特別に調達した素材を使っているそうです。 ‘同じメーカー、同じようなデザイン、同じメーカーのシャフトであれば同じような打感。’と思い込んでいた小生に、それが間違いであり、キューの奥深さを教えてくれたのはALPHAモデルでした。同じメーカーであっても外観やスペックの類似点がプレイアビリティーを類似にはしない!と分るまで随分と時間が掛かってしまいました。‘似て非なるもの‘だと思います。

いつからかJOSSは、カスタムライン以外に一般のファンが求め易い値段帯の物がかなりの量、流通しています。多くを知っている訳ではありませんが、知人が所有している今のJOSSと小生のALPHA-06とではっきり分る違いがあります。同じメーカーでも、カスタムラインとプロダクションラインがある場合、その質が違うのは冷静に考えれば当然のことです。プロダクションキューもお店のオーダーに依りますから‘カスタムメイド’な訳で、そのお店のオーダーの主旨が現れることになるのでしょう。どちらが良いかという点は判断する人の好み、感性によると思います。

いろいろなメーカーのデザインを見ていて、‘これはコグノ’、‘これは最近のJW’とか、はっきり分るものが多いですね。それも大手の普及価格帯から高級品に到るまで。キュー世界ではデザイン権利保護はされていないのか?と思います。けれど‘撞いてみれば分る’フィーリングが最大の特長であり、キューの真の価値であることを知ってしまうと、‘外観なんぞ、どうでも良いか、、、’という気持ちにもなってしまいます。素材の良さ、造りの良さは、撞いてみれば明白なのでは?ただ、本物には外観ににじみ出てくる風格というか、オーラがあると思いません?

キューの奥深さを感じながら、新旧ALPHA JOSSの心地良さに酔いしれる無上の喜び。正に‘手にした者のみぞ知る’だと思います。


   

 
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